2019年8月26日 夏活動4日目
慶應義塾大学文学部4年の坂口丈造です。夏活動4日目最終日のブログを担当します。
最終日も朝散歩から始まりました。今日はながしず荘の近くにある藤浜の海を見に行きました。朝日が反射した綺麗な海、入り組んだ海岸線、すぐ後ろにある山々、様々なものが折り重なって南三陸の自然の美しさを作り上げているのだと実感しました。

午前中は3グループに分かれての活動でした(慶應の森グループ、星さんの畑グループ、民子さんの船グループ)。僕は星さんご兄弟の畑での作業を行いました。小松菜畑の土づくりのために、牛糞を混ぜた堆肥をスコップを使って平らに散らしました。8人でビニールハウス2つ分を終えるのに2時間半ほどかかりました。普段はご兄弟とパートの方々がやられているそうですが改めてその大変さを感じました。作業を終えてビニールハウスから出た時、涼しい風が身体を冷やしてくれたのがとても気持ちよかったです。お昼には小松菜を使ったとても美味しい笹かまぼこを頂きました。また、きゅうりを育てている方と偶然お会いして短い時間でしたが収穫体験をさせていただきました。きゅうりは農薬を使っていないため水で洗わなくても食べることができ、これまでに食べたことのない甘さでした。

午後は南三陸ポータルセンターで、震災後、志津川小学校の避難所自治会長を務めていらっしゃった高橋長泰さんのお話を聞かせていただきました。お話の中で強く印象に残ったのは、人間関係の重要性です。お話の途中で高長さんが実際に経験された避難所までの経路を紹介してくださいました。上の山緑地から志津川小学校までの避難経路は、山の裏を通り抜けるようなコースで若い人には知られていなかったそうです。そこで若い人と道に詳しい年配の方がペアを組んで小学校まで行ったとのことでした。また避難所は設備が整っておらずパーテーションを設けられなかったのですが、そのような状況下でもかえって隣の人の体調を気遣うなどされていたそうです。人と人との距離が近い地域だからこそ世代、家族が違えど助け合えることができたのではないかと思います。その一方で情報をしっかり共有することの難しさなどを何度も仰っていました。人間関係が南三陸ほどしっかりしていない地域が多いであろう東京、自分が住む地域は震災が起きた時に果たして協力しあえるのでしょうか。震災に対する危機感を強く持ちました。

暖かく美味しい料理と子供たちの笑い声が絶えないながしず荘に宿泊できて本当に良かったと思います。南三陸という素敵な町で育った子供たちはとてつもなくパワフルでした笑

個人的なことになりますが、元々南三陸の復興について知りたいと思いこのプロジェクトに参加しました。当然、これまで長い時間がかけられてきた復興を4日間だけで理解できるとは考えていませんでしたが、最終日になっても想像以上にわからないことだらけでした。南三陸と一口に言っても戸倉、志津川、歌津など地区ごとに復興状況が異なること、道路の建設は地域の人たちのニーズに応えられていないのではないか、志津川には比較的多くの店舗が立ち並ぶけれども他の地域住民の方は遠方まで買い物に行かなくてはならない、などなど。復興ということの難解さと複雑さが残った4日間でした。
しかし、南三陸には素晴らしい人たちと美しい自然があることは分かりました。今回のプロジェクトで訪れた先々ではどなたも本当によくしてくださいました。そんな人たちの生活を守るために、記憶と知恵を伝えようとしている人たちがいる以上、僕たちがそれをしっかりと受け止めなくてはいけないのだと思います。素敵なこの町を知ることができて本当に良かったです。
最後になりますが南三陸の方々と南三陸に寄り添う方々、南三陸プロジェクトを長い間続けている先生・スタッフの方々、本当にありがとうございました!
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